●日 程
2024年8月18日(日)~21日(水)
●メンバー
ニコ
●コースタイム
【1日目】聖岳登山口(09:00)・・・聖平小屋(14:30)
【2日目】聖平小屋(04:20)・・・小聖岳(05:30)・・・聖岳(07:15)・・・百間洞山の家(14:30)
【3日目】 百間洞山の家(03:00)・・・荒川小屋(08:25)・・・悪沢岳(東岳)(11:30)・・・千枚岳(12:40)・・・千枚小屋(14:00)
【4日目】 千枚小屋(05:30)・・・椹島ロッヂ(10:30)
●登頂した山
聖岳 3,013m、赤石岳 3,120m、悪沢岳 3,141m

僕にとって未踏だった南アルプスの南の三座を繋ぐルート。体力に自信のないヘタレな私にはハードルの高かった憧れのコース。今年の夏のメインイベントとして気合を入れて臨みました。晴天の初日、畑薙の夏季臨時駐車場までガラガラの毎日あるぺん号深夜バス、そこから椹島行きのシャトルバスに乗り換えて途中の聖沢登山口で私一人だけ降りました。バスで借りた東海フォレストのヘルメットを返し忘れて被ったまま登り始めようとしていたら、「返して~」と追いかけてくる運転手。他の乗客から笑いをとれて、幸先の良いスタートをきりました。汗だくになりながら展望の無い樹林帯をひたすら登りますが、岩頭滝見台まで上がると、聖岳と大きな2本の滝が見える展望が突如拡がりました。そこから沢沿いのぬかるんだ道をしばらく進むと1泊目の聖平小屋に到着。寝床が隣になった女性2人組と意気投合して、自炊の夕食は山談議。併せて、その横で盛り上がっていた若い男女6人グループと、その後の山行、小屋、下山後の乾杯まで抜きつ抜かれつ、なんやかんやで一緒になることに。

2日目の天気予報は雨模様のはずが、翌朝4時に小屋から出ると予報が外れて星空が。でも遠くに稲妻を孕んだ大きな雷雲が延々と光り続けていて、恐怖を感じつつも、その美しさにしばらくのあいだ見とれてしまい出発が遅れました。雲海を眺めつつ小聖岳を越え聖岳のピークまで登ると、朝日に照らされた南アルプスの大展望が待っていました。写真を撮りあった男性が「実はこれで100名山完登です」と満面の笑み。そのすぐ後から来た夫婦が「私たちは99座目です」とのこと。やはり、南の南は最後の方になりがちだなとか会話をしながらお祝いしました。

展望の山道を歩き、聖岳を何度も振り返りつつ、うさぎ岳を越えて、中盛丸山のピークに着くと、6羽の雷鳥が出迎えてくれました。そこから眺める堂々とした赤石岳の雄姿は素晴らしく、明日歩く予定の悪沢岳へと続く稜線や、歩いてきた聖岳をよだれをダラダラ垂らしながら雷鳥と一緒に小一時間ほど眺めていました。僕が苦労してでも山に登りたくなるその目的は、この至福の時間のためにあると改めて感じることができました。

そのピークから目の前にある大沢岳を親しみもって眺めつつも、明日のハードな行程を考えて、ピークを踏まずにそのまま百間洞山の家まで降りていきました。小屋では前日に続き、2人組&6人グループと一緒に食堂で自炊・乾杯をしました。グループは日本語が達者な韓国人達で、百名山完登まであと少しとのこと、山談議は否応なしに盛り上がりました。

3日目は今回の山行のメインとなる赤石岳と悪沢岳を越えていく天空の縦走路。朝の3時に出発しました。然るに天気は予報通り雨模様。 稜線は13メートルの風が吹く予報、悪沢を諦めて赤石岳から椹島まで下山することも選択肢として分岐ギリギリまで悩みましたが、午後から晴れるという予報を信じて(結局外れましたが)突き進むことにしました。展望の無い雨ガスの3,000メートルの稜線歩きはリスキーですが、幸いにも雨風は強くなく、濡れながらも雨露に濡れる花を愛で、悪沢までの稜線が見えてるつもりの妄想を膨らませながらテクテク歩いていきました。ちょうど行程の中間地点の荒川小屋に辿り着き、さすがに冷えてきた体を温めようと受付でカップヌードルを頼んだところ、それを運んできた小屋の人が数年ぶりに会う僕の実弟だったという、想定外過ぎる意味が分からないレベルの衝撃サプライズが待ち受けていました。それを知った小屋のご主人から今日は是非ここに泊まってくださいと引き留められて迷いましたが、名残惜しくも次回はここに泊まることを約束して計画通り前に進むことに。驚きすぎて、欲しかった悪沢Tシャツとバッジを買うのを忘れてしまいました。小屋から悪沢岳までの道はとにかく百花繚乱で、晴れと雨を繰り返す空の色を映してとても美しい限りでした。中岳のピークでは晴れて虹も見ることができましたが、千枚小屋に着くまで結局総じて雨の山行となりました。

4日目の朝は打って変わってド快晴。小屋からご来光と富士と雲海をゆっくり眺めたあと、シラビソの静かで美しい森の中をゆっくりと時間をかけて降りていきました。途中、ルート唯一の展望地の見晴台から赤石と悪沢とその間に見える弟が働いている小屋を最後に眺め返して、椹島まで無事下山、途中で別れた6人グループと2人組と合流、シャワーを浴びてすっきりしたあと乾杯。バスで往路と同じ道を戻り毎日あるぺんバスで帰京しました。
記:ニコ
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