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  • tdogchocolala

頚城五山トレイル

●日 程

2024年8月10日~8月13日


●メンバー ピート


頚城五山トレイルだって。自分で考えたルートに名前が付けられていることは、下山後に山行を振り返るために改めてネットを漂っているときに知った[1]。人の価値観に乗ってしまったような複雑な感情が湧いたが、自分の引いたルートが認められて嬉しいような気もする。早速タイトルに使うことにする。やはり嬉しい(笑)。

 

その五山とは、妙高山、火打山、焼山、金山、雨飾山。このルートは何年か前からヤマレコに山行計画の一つとしてストックしてあったのだが、決行することにしたのは3日前。ハイシーズンに突発的に行けるのは、先着順のテント場(当日、要予約のテント場に変更したのだが、それは後ほど)と避難小屋泊の山行だからこそ。北陸新幹線も何とか往復指定席が取れた。ということで、8月9日金曜日夜、出発。

 

8月10日午前3時、赤倉温泉をスタート。ザックは19kg。ロード、赤倉温泉スキー場、大谷ヒュッテを経て妙高山へ。妙高高原スカイケーブルが運休中[2]のためか藪がすごい。足元が見えない道が続くが、夜露が冷たく気持ちよい。ビショビショになるが短パン半袖。すぐ乾く。8時、妙高山登頂。火打山、焼山を望む。午後になると一雨くる可能性あり、先を急ぐ。途中、電波状況の良い大倉乗越から高谷池ヒュッテに電話してみると、出発前は満卓だったテント場に1張だけ空きがあるという。当初予定していた黒沢池ヒュッテのテント場は予約不要なものの15時受付開始という謎ルールだったのでラッキー。早速予約。黒沢池を過ぎると少しだけ霧雨がきたがすぐに上がる。11時半すぎ、黒沢池ヒュッテ到着。行動時間8時間半ほど。まだテントは少なく、まずまず良い土地を確保。テントを張ったら水づくり。今日は予定していた途中の水場が涸れていた。明日明後日の水場もあてにできない。テント場の水場は文字通り黒沢池の水そのままなので要煮沸。今日午後から明後日の下山まで2日半、8ℓの水をせっせと沸かす。

 

8月11日は3時ころ起床。星空が奇麗。この日の行動時間は短めなので、ゆっくりと支度。5時50分出発。2日分の水6.5ℓでザックは23kgを超え、さすがに重い。天狗の庭からの火打山が素晴らしい。黒沢池から火打山は近い。7時過ぎに到着。風が弱かったのでビショビショのテントを山頂で広げて乾かす。7時半、焼山に向けて出発。ここからが本番。火打山までとは打って変わって人が減り、道もワイルドになり、荷物が重いので足取りに気を遣う。緊張を感じるにつれ、ようやく山に入りこんだ感じがする。影火打から少し下ると、目の前に焼山が聳え立つ。400m下り、400m登り返す。垂直に見えた焼山の登りは、実際には30~40度。ザックが重いので登りがきつい。振り返ると火打山が端正。焼山は案外緑が多いのが意外だった。草木が全くないのは本当に山頂周辺のみ。10時40分、焼山登頂。硫黄の臭いは一瞬。うねる雲海で眺望は得られなかったが、絶海の孤島の趣もまた良し。人は思ったより多い。妙高山、火打山に比べれば一桁少ないが、火打山から先で10人くらい見かけただろうか。11時過ぎ下山にかかる。火口の縁を三分の一周ほどし、火口湖を眺めたのちはガレ、ザレの急降下。

 

11時50分、泊岩の避難小屋に到着。行動時間6時間ほど。ここでの泊りは今回の山行の隠れメインイベント。存在を知ったときから、いつか泊まりたいと思っていた、岩穴の中にはめ込むように作られた、ロマン溢れる(?)避難小屋。扉を開ける。先客はなし。西向きの岩穴の中の避難小屋の空気はひんやり。数年前までは床の代わりに発泡スチロールの箱が敷き詰められていたらしいが、今は板敷。快適に過ごせるのは6人くらいまでだろうか。なるべく明るそうなところに、小屋備え付けのブルーシートを広げ、その上に銀マを敷き、陣地とする。さて、ここで15時間ほど過ごすわけだ。電波は入らない。マットを膨らませたり水や食料や燃料を準備しているうち、西向きの岩穴の前には午後の陽が差してきた。生乾きのテントを干す。夜露でビショビショになった靴と靴下も干す。もうやることが無くなった。小屋に入りマットに寝そべる。寒い。温度計を見ると16度ほど。さすが岩穴の中の避難小屋。底冷えする。昨日のテントは短パン半袖のまま寝たが、今日は早々に長袖長ズボン。さて、何をしよう。とりあえずカップラーメンで空腹を満たす。次は酒しかない。600㎖のペットボトルに200㎖のウイスキーと400㎖の水を注ぎ、行動食兼非常食兼の無印良品のナッツ&ドライフルーツ[3]をつまみにチビチビ舐めながら文庫を読む。時おり人の気配を感じるが、小屋はちょっと奥まったところにあって登山道からは見えない。みな通り過ぎていくが、物好きな登山者が扉を開けて中を覗き込んできた。まさか中に酒飲みながら読書している変人がいるとは思っていなかったようで、慌てて扉を閉めて立ち去って行った。夕方になると酒も無くなり、本も読み終わり、寝る。夜中に何度か目が覚めたが、割合とよく眠れた。

8月12日、2時起床。室内は15度。昨日の日中から1度しか下がっていない。暖かい。朝食を摂り、撤収する。さああとは靴を履くだけという3時ころ、外からポツポツと雨音。まじか。じき止むという判断で少し待機。シュラフもマットも片づけてしまったので、板敷に寝そべる。4時前、予想通り雨が上がったので出発。昨日より3㎏ほど軽いが、行程は今日のほうが長い。金山に続く稜線に出ると、焼山と火打山の山際がだんだん白くなって少し明るくなり、紫がかった雲が細くたなびいていた。5時過ぎ、金山到着。ちょうど日が出そう。5時10分、火打山の肩から光が迸る。今まで見た中でも指折りの荘厳な日の出だ。ひとしきり楽しむと、いつしか辺りはガスに包まれていた。計画には天狗原山のピストンを入れていたが、気が進まず省略して先に進む。金山から先、雨飾山山頂近くの笹平までの間は、今回の山行で最も人が少ない区間。不明瞭な箇所が多いという話もあるが、果たして。しばらくすると雨が降ってきた。やれやれだ。幸い小雨、風も弱い。ザックカバーだけつけ、レインは着ない。汗で濡れるより雨で濡れるほうがまし。雨が上がれば、ペラペラの短パン半袖。すぐ乾く。雨飾山に向けて黙々と歩く。ルートは明瞭、迷うような箇所はほとんどない。金山から2時間ほど歩き、標高700m下げてきたところが最低鞍部。雨飾山までは400mの登り返し。笹平で小谷温泉からの道に合わさる。ここまでの道も特に悪いものではなかったが、百名山のメインルートは比較にならないほど歩きやすい。まさにハイウェイ。雨は上がらず、山頂もガスに包まれその姿は見えない。山頂に向かうと、この日初めて人と会った。下山は雨飾温泉なので、分岐にザックをデポして山頂ピストンしようと思っていたが、雨が降る中でザック下ろすのも面倒になり、全部担いだまま山頂に向かう。最後はちょっぴり急登。気合のラストスパート。先を歩く登山者は全員抜く。そのうち追いついた一人が、ちょっとした岩場でバランスを崩して(?)落っこちてきた。危うく直撃を受けるところだった。当人けがはないよう。危ないなぁ。気を取り直して9時20分、3日間の山行の最後のピーク、雨飾山頂到着。霧雨は上がらず周囲はガス。展望なし。雨飾山荘16時10分の乗合タクシーを予約しているので急ぐ必要は無い。しかし1時間近く山頂で粘っても状況は好転せず、下山する。

 

12時10分、2時間弱で無事雨飾山荘に下山。行動時間8時間半ほど。雨飾山荘で熱めの温泉に浸かり、ビールを飲み、ラーメンを食い、ゴロゴロして、16時10分のタクシーを待つ。糸魚川駅まで50分、2,000円は安い[4]。時刻通りにきたジャンボタクシーの乗客は私一人。なんだか申し訳ない気持ちになるが、糸魚川駅まで快適に移動。飯食って土産買って19時過ぎの新幹線に乗車、22時ころ帰宅。充実の3日間の山行でした。

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左:妙高山から火打山、焼山 右:天狗の庭から火打山 


                

左:影火打から焼山、金山  右:焼山中腹から火打山、影火打 



焼山山頂


       

泊岩避難小屋



やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこし明かりて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる。



金山から強烈な日の出


記:ピート

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東京みなと 山の会
東京都勤労者山岳連盟所属
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