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  • tdogchocolala

徒歩で九州横断 ~ Sea to Summit to Sea ~ 

更新日:2023年6月28日


●日 程:

2023年3月20日(月)~25日(土)


●メンバー

ピート


●コース 

別府湾→鶴見岳→由布岳→九重連山→阿蘇山→有明海(詳細は別表)


勤務先には5年勤続ごとにリフレッシュ休暇とやらがあり、どうも私は5年たって付与されたようだ。 そしてその期限が3月末に迫っている。 ということに気が付いたのは3月に入ってから。 通常の有給休暇も全部は使わずに消えていっているのだから無理して取る意味も無いのだが、5年に一度のものを使わないのも癪なので1週間休むことにした。 1週間あれば妻とワイハーにでも行くのが本来なのだろうが、休暇を決めたのが割と直前で妻もすぐにはスケジュールの調整ができない。 であれば仕方ない、山に行くしかないではないか。 決して、山に行けるように知らなかったふりをした、わけではない。 ウキウキしながらやむを得ず山行の計画を練る。


Day 0 【3/19(日) 東京→別府市街】

最終便で大分に入る。 のだが、この日は前々から行きつけの飲み屋に予約を入れてあった。 であれば仕方ない、ザックを背負い飲み屋に行き、そのまま羽田空港に向かうしかないではないか。 泥酔して乗り遅れるわけにはいかない。 自然とお茶割が薄くなる。 無事羽田空港に到着。 飛行機に乗るのはコロナ禍始まる前以来。乗り方忘れた(笑) 大分空港からバスで別府に向かう。 22時40分ころ別府市街に到着。景気づけに倍ビッグマックを喰らう。


今回は結構カロリー消費するだろうから、少々の不摂生は良かろう。 深夜のジャンクフードはうまい。 食後、仮眠と支度のためインターネットカフェへ。 斜向かいの男のいびきがうるさく、寝るのはやめる。

別府の餅ヶ浜をスタート


Day 1 【3/20(月) 別府湾→鶴見岳→由布岳→小野屋駅近辺】

出発前、足にクリームを塗る。トレランシューズを新調した。 数日前、15kmほどロードで足慣らし。 登山道はぶっつけ。 足裏やかかとの保護用にクリームとソルボバン用意。 入念な準備とはいいがたいが、これでダメなら中断するしかない。

草木も眠る丑三つ時、別府の餅ヶ浜の砂浜からスタート。 あちこちの側溝から湯けむりが上がっている別府の住宅街を穏やかに登っていく。 目と体が闇夜に慣れてきた3時半ころ、鶴見岳にかかるロープウェイの駅の少し下から登山道に入る。 鶴見岳では毎年海から山頂までのレースが行われているので登山道が良く整備されていて、暗くてもスムーズに登れる。 水場もある火男火売神社(中宮)で休憩。 全く意識していなかったのだが、ちょうど山頂で日の出(06:18)を迎えられそうだ。 6時過ぎ、鶴見岳山頂に到着。 東には無数の湯けむりを上げる別府の街と別府湾が広がる。 西には次に向かう由布岳が聳える。 気温は0℃。 肌寒いが日の出を待つ。 6時20分過ぎ、水平線の雲から太陽が覗く。 




鶴見岳山頂で日の出を迎える


今日の午後から天気は崩れ、明日以降は雨模様。 日の出もこれっきりだろう。 6時半、由布岳に向けて下山開始。 下れば下るほど、由布岳が高く聳える。 これ登るの…。 500m下り車道の走る鞍部に降り立つ。 東屋で一息。 由布岳まで800mの登り。 時刻はまだ8時前。マイペースでいきましょう。

由布岳東登山道は最初のうちは穏やかな登りだが徐々に傾斜が増し、1,400mあたりからロープや鎖の垂れる岩場が断続する。 中には垂直な岩場もあるが、手掛かり足掛かりは十分。

 由布岳東登山道の鎖場



登山口から2時間弱で火口壁に登り上げる。 右に反時計回りに進むと西峰、左に時計回りに進むと東峰に出る。 左に進むと、すぐに東峰。 360度の展望。 火口を挟んで正面の西峰に人が見える。 いったん東峰と西峰の鞍部のマタエに下ると、この日初めて人と遭遇。 別府湾からここまで誰とも会わなかったのに、正面登山道からの登山者が多く、一気に人が増えた。 西峰に向かうと障子戸の鎖場。断念している人もいた。 鎖場を超えるとほどなく西峰。 こちらも360度の展望。 眼下には由布院の街。 遠くには明日登る九重連山。 山頂からの展望はこれが最後だろう。 しばし堪能し、下山。 鎖場を慎重に下り、正面登山道を下る。 東登山道とは対照的に歩きやすく、人が多い。 

                        


外国人、お年寄り、子供連れも。 マタエまで、という人も多いよう。 1時間半ほどで正面登山口に下山。 東屋で一休み。 広い駐車場には多くの車が停まり、辺りを散策する観光客も多く、下界に降り立った感。 そして、ここからの由布岳の屹立する大きな山容が、実に素晴らしい。 名前負けの甲武信ヶ岳や、中腹の岩場に過ぎない瑞牆山などより、よほど百名山にふさわしいではないか。

麓から望む雄大な由布岳


さて、この日の宿までロード20kmあるのだが、実は問題が一つあった。 道が無い。 いや、あるにはあるのだが、結構な遠回り。 地理院地図を眺めると、ショートカットできる破線が描かれているではないか。 しかし、実に怪しい。 実際には道は全くないことなどざらにある。 登山者が入るエリアでもないので、本当に道があるかどうか事前に調べることもできなかった。 行ってみないとわからない。 実際に破線の入り口に着くと、廃道化しているが、とりあえず道はある。 果たして繋がっているか、途切れているか。 進むか、安牌か。 地形図を見る限り地形的には険しくはないし、引き返す時間もある。 進んでみよう。 途切れた。 周囲は竹が密生していて簡単には進めない。 竹藪と地形の弱点を探しながら進む。 たまにマーキングと踏み跡が出てくる。 竹藪と格闘すること1時間、突破し車道に出る。 やれやれ。 残り10km。 いい加減疲れてきた足で車道を歩いていると、ポツポツきだした。 もう? さっきの藪漕ぎで降られなくて良かった。 

Sea to Summitのを差す。

しばらく歩いていると、道路の反対側の施設の無人直売所の赤いものが目に入る。 なんと直売所にCoke!! オ・エイシス!! 料金箱に100円玉を投入しコーラを煽る。 生き返る。一息ついていると施設の人が出てきて少しお話しする。 いや~道路の反対側からコーラが見えて思わず、という話をしたら、一本サービスでゲット!! 超嬉しい。


Day 1ユニークな宿 2,800円也



宿で飲むべくザックにしまい、礼を言って出発。さらに歩くこと1時間、この日の道中唯一のコンビニで食料を調達し、17時半、宿に到着。 オーナーが出迎えてくれる。

風呂無しK無し2LDの一部リフォームした2階建て古民家一棟貸し切り。 書棚にはマンガや書籍がぎっしり。 素泊まりのみ。 かなりユニーク。 なにはさておき、まずは食事。 何年ぶりかのコンビニ弁当をコーラで流し込む。 

食後、オーナーが軽トラで日帰り温泉に連れて行ってくれた。

宿に戻ると早々に布団に入る。 書棚の美味しんぼを読み始めるが、2巻で力尽きる。




Day 2 【3/21/(火) 小野屋駅近辺→白水鉱泉→黒岳→大船山→法華院温泉山荘】

Day 2雨だす

1時起床、2時40分出発。 小雨で気が重い。1kmほど歩くとコンビニがあるが、その後10kmほどは自販機すらない。 途中、少し遠くから犬に吠えられる。 そういえばほとんど室内飼いになって、歩いていて吠えられることも減ったな、などと考えていると、背後から吠え声が近づいてくる。 ずいぶん長いリードだなぁと思いながら振り向くと、10mほど先の闇夜の車道に光る点が六つ。 ん?放し飼い? 3頭の犬が、めっちゃ吠えながら近づいてくる。 野犬じゃないよね? しばらく、後ろ歩きで様子を見る。 小走りで近づいてきたり、止まって距離を置いたり、つかず離れずでゆさぶってくる。 その間も、ずっと吠えたててくる。 しばらく歩くと、止まった。


 どうやらこの辺りまでが奴らの縄張りのようだ。 ふ~、やれやれ。 気を取り直して前歩きで進む。 7時前、入山口の白水鉱泉に到着。 雨はやまない。 最新の予報では、6mm/hほどの雨が降り続く。 道すがら、予定通り黒岳、大船山を縦走していくか、黒岳を巻くか、はたまた両方とも巻くか、考えていた。 巻くとしたら、もう少し車道を進む。 縦走していく場合、山と高原地図のC Tで8時間30分以上。 ここが分岐点だ。 ギリギリまで悩んだが、巻き道は谷沿いやトラバースが続くので、体力的にはきつくても縦走していくほうがリスクは低いと判断し、予定通り縦走する。 また、ここで巻いたら最後まで歩ききれずにどこか途中でリタイヤしてしまいそうな気もした。 雨音だけが響きわたる黒嶽荘の軒下で休憩し、7時半過ぎ、気合を入れて黒岳に向けて出発する。

雨の中、巨岩を縫って登る結構大変な道だ。 数mの巨岩が積み重なっていて、延々それを乗り越えながら登る。 白水鉱泉から2時間、前岳に到着。 ここから黒岳最高峰の高塚山まで、地形図に表れない細かいアップダウンが連続。 体力が削られる。 CTの設定が長いのも納得。 正午過ぎ、高塚山登頂。 山と高原地図に負けているが、仕方ない。 焦って濡れた岩で滑って怪我でもしては元も子もない。 風穴まで350m急降下。 大船山まで550mの登りだ。

雨の中、巨岩を縫って登る


黒岳の登山道に比べれば歩きやすいが、すでに1,500mは登っているのでペースは上がらない。 雨も上がらない。 大船山山頂の直下までくると雪がでてきたが、特に問題は無かった。 15時、大船山登頂。 計画より1時間早い。 夕食までには法華院温泉山荘に着けそうだ。 やれやれ。 山頂からは九重連山の眺望が見事らしいが、当然真っ白。 風も少し強い。 10時間以上雨に打たれ、いい加減、体が冷えてきた。 大船山避難小屋で休憩。 2019年築で新しく、しっかりした造りの小屋。 めちゃ助かる。 最後の下りも試練。 深く洗堀された登山道には音を立てて盛大に水が流れている。 ジャブジャブ行くしかない。 当然、靴の中はグショグショ。 1時間の沢下りで坊ガツルに降り立つ。 霧に煙る湿原を15分ほど歩き、17時前、法華院温泉山荘に到着。 労山の会員証で500円引き。



法華院温泉山荘


部屋は6畳間を貸し切り。 ヒーターもある。 乾燥室もあるが億劫になり、ヒーターをガンガン焚いて自室で乾かす。 乾燥室の隣の自炊室では10名ほどの比較的若い団体が宴会中。 その隣では単独高齢男性が一人静かに食事中。 ちょっと可哀そう。 18時夕食。 私のほかは男女ペアの1組のみ。 瓶ビール1本をチビチビ飲みながらの夕食を終えたころには、二人の姿は無い。 夕食後、入浴。 誰もいない湯船に、ゆっくりつかる。 部屋に戻ってしばらくすると、弁当が二つ届けられた。 朝弁と昼弁。 朝食が7時半と遅いので弁当に変更し、その後の食料調達の場も限られることから、昼弁を追加。 受取時に、こっちが朝、そっちが昼、朝を先に食べてね、と説明を受けたのだが、3分もすると忘れた。 部屋はヒーターで暑いので、廊下に弁当を置き、就寝。 


Day 3 【3月22日(水) 法華院温泉山荘à三俣山à中岳à阿蘇外輪山】


4時起床。 1日濡れた足で歩いたからか、靴ずれ、水ぶくれができてきた。日課のクリームを塗り、ソルボバンを貼ってみる。 痛みはほとんどない。 予報では雨は明け方ころに上がる。 弁当を一つ食べる。 後から考えると、どうやら昼弁を先に食べたようだ。 まあ良い。 6時出発に向けて準備を終えたが、まだ結構降っている。 

濡れそぼつ馬酔木の花



予定通り三俣山に登るか、直登ルートを回避して登るか、三俣山はパスして中岳だけにするか。 計画は7時半出発。 少し様子を見よう。 7時近くになると、だいぶ弱くなってきた。 計画通り行こう。 7時過ぎ、全然乾いていない靴を履き、出発。

三俣山南峰にダイレクトに突き上げる急傾斜の登山道は雨の影響もあり超スリッピー。

 青空とガスがせめぎ合う北千里浜


チェーンスパイク持ってくりゃ良かった。 幸い雨はほとんど上がった。 こけても泥んこになるだけと言えばだけだが、泥んこになるとテンションダダ下がりなので、慎重に登る。 2時間かけ、何とかこけずに三俣山南峰到着。 そこから15分ほどで三俣山本峰。 南峰も本峰もガスで展望は得られず、足早に先に進む。 諏蛾守越に下ると、風が強い。 雨は弱いのだが、風のせいで顔はびしょびしょ。 諏蛾守越には東屋があるのだが、 壁はない。 



峠を吹き抜ける風雨のせいで休憩にならない。 5分ほど下ると、北千里浜から流れてくる小川に出会う。 火山性の荒涼とした風景と、辺りを包むガスや風雨が相まって、まるで三途の川だ。 ところが小川に沿って北千里浜に入ると、みるみる青空が広がってくるではないか!!北千里浜を取り囲む荒々しい岩肌には忙しなくガスが流れている。 上空は青空。 良いではないか。 ひと登りで久住分れ。 その先すぐ、久住山と中岳の分岐。 当然、高いほうの中岳へ。

中岳


 ガスに沈む御池の畔を半周し、最後の登り。 正午前、九州本土最高峰、中岳に到着。 Sea to Summit. 雲が湧いては流れていく。 そのたびに、周囲の山は顔を出したり沈んだり。 飽くことない眺めだが、この日も先は長い。 腰を落とすことなく下山。 久住山との分岐からは人が多い。 扇ヶ鼻への道に入ると、人は途絶えた。 やはり、最短の牧ノ戸峠から久住山を目指す人が多いのだろう。 扇ヶ鼻に登り返し、14時半、車道に降り立つ。


5分ほど歩くと熊本県に突入。 県境から10分ほどで瀬の本。 ここにはドライブインと数軒の飲食店がある。 目を付けておいた飲食店、八菜家へ。 16時閉店なのだが、間に合った。 煮しめとボルシチの定食で遅めのランチ。 うまい。 食べ放題の漬け物は塩分控えめでバリボリ食えて良い。 ここから先、店は無いので、翌日の朝食用におにぎりをテイクアウト。 



16時、ガスで真っ白なロードを出発。 宿まで12km。 左右は、野焼き後の黒々とした牧野がうねりながら霧の中に消えていく。 そんな変化のない、でも見飽きることもない道を歩くこと2時間半、東京に比べれば30分ほど遅いとはいえ既に日が沈んでだいぶ暗くなってきた18時40分、阿蘇の外輪山に位置する宿に到着。本日の宿は、牧場に併設する宿泊施設で素泊まり。 牧場だけあって部屋はカントリー風。


10畳くらいの十分な広さ。 風呂は大浴場。 ボディーソープにシャンプーもある。 Day0のインターネットカフェ以来のテレビを見ながら、法華院温泉山荘の弁当で夕食。この日も濡れものを乾かす。 朝少し降られただけなので、そこまでではないが、エアコンガンガンつけっぱなしで就寝。




Day 4 【3/23(木) 阿蘇外輪山à阿蘇山à栃木温泉】

2時起床。 本日は強風予報。 850hPaでは20m/sくらい吹くよう。 4時出発。 小雨の中、傘をさしてロードを進み、阿蘇のカルデラに降りる。 疲れがたまってきたからか、ペースはあまり上がらない。 途中、阿蘇市街のコンビニ2軒で小休憩。 カルデラから中央火口丘にむけて登る。 徐々に風が強くなってくる。 目の前に阿蘇の山々が連なっているはずなのだが、ガスに包まれて見えない。 ロードを歩くこと4時間16km、午前8時に仙酔峡の登山口に到着。 かつてここから火口の東側までロープウェイが掛かっていたのだが、2010年に休止され、現在はワイヤーケーブルも撤去され、支柱だけが寂しく連なっている。


仙酔尾根 上のほうは見えない

インフォメーションセンターの軒下で一休みし、仙酔尾根を登る。 この尾根は高岳の火口壁まで標高差600mあまりを一気に突き上げていて、バカ尾根とも呼ばれている、なかなか険しい岩尾根。 中間地点までは、まあ普通。 岩は雨で濡れているが、ごつごつした溶岩なので、ほとんど滑らない。 が、時おり強風でよろめく。 そんなとき、上から人が降りてきた。 単独男性。 短く言葉を交わし、すれ違う。 お互い、変な奴、と思ったことだろう。 徐々に傾斜が増し、風の勢いも増す。 横殴りの雨。 真面目に登る。 風が弱まったタイミングでささっと進み、強いときはかがんで岩につかまってやり過ごす。 慣れてくると、なんとなく風の呼吸がわかる。

 また、二足歩行だと煽られて進めない強風でも三点支持だと安定するので、手を使う傾斜の強い岩場のほうが止まらずに進める。 それでも微妙な岩場では、風の弱まるタイミングを見計らって登る。 仙酔尾根に取り付いて2時間あまり、火口壁に乗り上げた。 すると、今までの風がそよ風のような暴風を正面から浴びる。 立っていると吹き飛ばされそうで、しゃがみ込む。 分岐の道標にしがみつき立ち上がる。 そのまましばし待機。 不思議なことに、徐々に慣れてくる。 これなら行けそうだ。 中岳に向けて歩き始める。 10分もせず、高岳に到着。 360度真っ白。


暴風の高岳

 そそくさ先へ。 暴風吹きすさぶ稜線を、中岳、南岳と進む。 時おり体がよろめくが、稜線は広いので不安は無い。 中岳から砂千里ヶ浜に下っていくと、さすがの暴風も弱まってくる。 噴火警戒レベル2のため火口方面には行けず、迂回路に進む(この日13時にレベル1に引き下げられ火口近くまで行けるようになった。)12時40分、車道に出る。 4時間半の強風との格闘であった。 やれやれ。 これで登山道は終了。 60km先の有明海を目指す。

強風の仙酔尾根 まだ序の口 30分ほど車道を歩くと草千里。 霧で見えないが、車は多い。 視界ゼロで火口にも行けないのに、皆さん何しに来ているのだろうか…。 お互い様か。 2階のレストランで昼食休憩。 昨日の定食のほうがうまかったな…。 前日の宿泊先で地域限定クーポンをもらったが今日使わないと紙屑なので、1階の土産物屋で費用対重量の小さい茶を買う。 14時20分、たっぷり休憩して出発。 宿まで13km。 濃い霧で視界がとても狭い。 車もハザード焚いて徐行。 はねないでね。 17時、近くのコンビニで夕食を調達し、宿に到着。

靴を脱ぐと、猛烈に臭い。 数日間濡れっぱなしで、かつ同じ靴下履いていたので、半端ない。 史上最狂。 いまだかつてない。 自分のだから許せるが、他人のだったら発狂。 ドリアンなみなので、帰りの飛行機搭乗拒否されるんじゃないか? 裸足なら大丈夫か? できるだけ乾かすしかない。 気を取り直し、風呂に入る。 今夜は温泉旅館だ。 大浴場にはローカルの日帰り入浴客も多い。 宿泊客は工事現場等のビジネス目的が大半のよう。 この日もエアコンガンガンつけっぱなしで就寝。

Day 4ローカル色漂う温泉旅館


Day 5 【3/24(金) 栃木温泉à熊本市街】

6時半、宿の朝食。 温かいメシはうまい。 5日目の吐き気のする靴下を履き、小雨の中、7時15分、出発。 この日は熊本市街まで33kmのロードだけなので、時間的には余裕がある。 黒川にかかる阿蘇長陽大橋を渡る。 

阿蘇長陽大橋ガスの中に第一白川橋梁



左手下には霧の中に南阿蘇鉄道の第一白川橋梁。 右手上には国道325号線の新阿蘇大橋が頭上にかかっている。 どちらも2016年の熊本地震で甚大な被害を受け、架け替えられたものだ。 旧阿蘇大橋は落橋し、不幸にも大学生が巻き込まれてしまったことを覚えている方も多いはず。 一方南阿蘇鉄道は第一白川橋梁を含む一部が今なお不通だが、今年7月15日に7年3か月ぶりに運転再開するようである。 

歩くにつれ、少しずつ山が減り、川が穏やかになり、森が減り、田畑が増えてくる。 熊本平野だ。 アップダウンはほとんど無いのだが、足が痛い。 かかとに靴ずれ、足指や指の付け根には水ぶくれ。 途中のコンビニの軒下にベンチがあったので、針を刺して水を抜き、絆創膏を貼り直す。 休憩後の歩き出しが一番痛む。 しばらく歩くと麻痺するのか、あまり気にならなくなる。 それでも、しばらく歩くと辛くなってくる。 また、この日は肩も痛み出す。 水入れて10km程度と軽いのだが、連日長時間背負っているからか、辛い。 肩や腰のベルトを緩めてみたり、締めてみたり。  何となく和らぐが、しばらくすると痛くなる。 足と肩を休めるため、コンビニごとに小

休止。 やがて田畑が減り、家が増えてくる。 そうすると、歩道も増えてくる。 ようやく、すぐ横を走るトラックの恐怖から解放。 やれやれ。 歩くこと9時間、16時20分に熊本駅近くの宿に到着。

自転車を借り、コインランドリーへ。 靴を洗う。 道々考えていたのだが、無事飛行機に乗るにはこれしかない。 靴は入れるなという表示を無視して5日目の靴下と一緒に洗濯機へ。 ガランゴロン音を立てるが、知らぬ存ぜぬ。次いで乾燥機へ。 ガランゴロン。

これでにおいスッキリのはずだ。 と思ったのだが、おかしい。 大して変わらない。 とっておきの未使用靴下でごまかすしかない。 次いで風呂に寄り、宿に戻る。 相部屋の宿だが、幸い自分だけ。 ラッキー。 明日のロード11kmが残っているが、予定通り登れた祝杯を上げに呑み屋へ。 店主おススメのフタエゴ(馬のバラ)の刺身が絶品。 赤身と脂身のマリアージュ。 店主と常連さんとの会話も楽しく、あっという間に泥酔。


Day 6 【3/25(土) 熊本市街à熊本港à東京】 頭が痛い。 7時過ぎ、未使用の靴下を履いた足をかぐわしい靴に突っ込み、出発。 ゴールの熊本港まで11km。 熊本港発11:10のバスに乗る予定だが、9:20発に間に合うかも? 5.5km/hで歩けば間に合う。 雨は降っていない。 行くしかない。全く急ぐ必要は無いのに急ぐ羽目になった。 なんなんだ。 痛む足を無理やり前に進める。 時おりGoogle Mapの到着予想時刻をチェック。 1分早まったり、変わっていなかったり。 一喜一憂。 いつしか正面に雲仙岳が大きい。  

行く手に雲仙岳



熊本市でも西のほうは阿蘇より雲仙のほうが近い。 海の向こうなので、より大きく見える。 振り返っても阿蘇は雲の中で見えない。 徐々に到着予想時刻がバスの時刻に近づいてくる。 だがまだ負けている。 急ぐ。 左右に網や浮きなどの漁具が目に入るようになる。 海が近い。 ようやく到着予想時刻がバスの時刻に追いついた。 だが油断大敵。 数分は巻いておかないと危ない。 無心で歩く。 ゴールの熊本港フェリー乗り場は人工島。 その島にかかる橋を渡る。 バスの時刻の7分前、ゴールの波打ち際に到着。 Summit to Sea.



有明海にゴール

感動のフィナーレを味わう間もなく、慌ただしくバス停へ。 9:20のバスに乗車。 熊本市街で空港行きのバスに乗る。


 おかげで空港では有り余る時間。 明日は総会だ。 土産を買わねば。 入り数が最も多いものする。 よく見ると長崎名産とか何とか書いてあるが、誰も気にしないだろう。 これで良し。 とってり換え。おきの靴下のおかげか、搭乗拒否の憂き目にも会わずに済む。 やれやれ。 無事に帰宅。

翌朝体重を図ると、出発前より3kg以上増えている。 な・ぜ・だ。。。 確かに普段より摂取カロリーは多かったと思うが、そんなドカ食いしたつもりはないのだが。。。 次の日、1日で2kg以上減った。 そんなに出したつもりはないのだが。。。その後は微減で、今は出発前より1kgほど軽い。 良かった。 山行中は毎日出していたと思うが、それでもやはり溜まっていたということだろう。

総括。全体的に悪天候だったが、計画した山は全て登れた。 特に不足と感じた装備はなかった。 魔法瓶は持って行ったが一度も使わなかった。 長時間行動・登降に耐える体力、長時間歩行による足のダメージ・ケア、雨・風への対応、など不安要素はあったが、大きな問題は生じなかった。 ただ、足のケアは痛みが出る前から積極的・予防的に行ったほうが良かった。 もう一つ足関係として、今回はノンゴアのシューズで歩いたが、ゴアとノンゴア、どちらが良かったのかはわからない。 ザックのフィッティングは、特に長期間や重量がある場合は、しっかりやる必要がある。 と、色々と反省点はあるが、自分の体力的限界に近づく、とても良い経験ができた。

快く送り出してくれた妻に感謝。









  




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東京みなと 山の会
東京都勤労者山岳連盟所属
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